上陸拒否事由

出入国管理及び難民認定法(昭和26年政令第319号。以下「入管法」といいます。)第5条では、第1項で日本国にとって入国を認めることが好ましくない外国人について、第2項で相互主義に基づき上陸を認めない外国人について規定しており、同条の規定に該当する外国人の方は、原則として、日本への上陸を拒否されます。これを上陸拒否事由といいます。

なお、上陸拒否事由に該当する外国人の方であっても、同法第5条の2の規定による上陸拒否の特例の対象となる方については、例外的に上陸を拒否されない場合があります。

【参考】入管法第5条、第5条の2

入管法第5条の規定により、次のいずれかに該当する外国人の方は、日本に上陸することができないこととされています。

(1)感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律(平成10年法律第114号)に定める1類感染症、2類感染症、新型インフルエンザ等感染症若しくは指定感染症(同法第7条の規定に基づき、政令で定めるところにより、同法第19条又は第20条の規定を準用するものに限ります。)の患者(同法第8条(同法第7条において準用する場合を含みます。)の規定により1類感染症、2類感染症、新型インフルエンザ等感染症又は指定感染症の患者とみなされる者を含みます。)又は新感染症の所見がある者

(2)精神上の障害により事理を弁識する能力を欠く常況にある者又はその能力が著しく不十分な者(以下「要随伴者」といいます。)で、日本におけるその活動又は行動(以下「活動等」といいます。)を補助する次のいずれかに該当する者が随伴しないもの

ア 要随伴者の後見人、保佐人、配偶者、親権を行う者若しくは扶養義務者又はこれらに準ずる者であり、かつ、要随伴者の活動等を補助する意思及び能力を有する方であって、次のいずれにも該当しない者

① 当該要随伴者に対して訴訟をしている者、又はした者並びにその配偶者及び直系血族

② 家庭裁判所で免ぜられた法定代理人、保佐人又は補助人

③ 破産手続開始の決定を受けて復権を得ない者

④ 成年被後見人又は被保佐人

⑤ 未成年者

イ 上記アの者のほか、要随伴者の活動等を補助することについて合理的な理由がある者で、要随伴者の活動等を補助する意思及び能力を有する者(要随伴者が日本に短期間滞在して、観光、保養又は会合への参加その他これらに類似する活動を行うものとして上陸の申請をした場合に限ります。)

(3)貧困者、放浪者等で、生活上国又は地方公共団体の負担となるおそれのある者

(4)日本国又は日本国以外の国の法令に違反して、1年以上の懲役若しくは禁錮又はこれらに相当する刑に処せられたことのある者(政治犯罪により刑に処せられた者を除きます。)

(5)麻薬、大麻、あへん、覚醒剤又は向精神薬の取締りに関する日本国又は日本国以外の国の法令に違反して刑に処せられたことのある者

(6)国際的規模若しくはこれに準ずる規模で開催される競技会若しくは国際的規模で開催される会議(以下「国際競技会等」といいます。)の経過若しくは結果に関連して、又はその円滑な実施を妨げる目的をもって、人を殺傷し、人に暴行を加え、人を脅迫し、又は建造物その他の物を損壊したことにより、日本国若しくは日本国以外の国の法令に違反して刑に処せられ、又は入管法の規定により日本からの退去を強制され、若しくは日本国以外の国の法令の規定によりその国から退去させられた者であって、日本において行われる国際競技会等の経過若しくは結果に関連して、又はその円滑な実施を妨げる目的をもって、当該国際競技会等の開催場所又はその所在する市区町村の区域内若しくはその近傍の不特定若しくは多数の者の用に供される場所において、人を殺傷し、人に暴行を加え、人を脅迫し、又は建造物その他の物を損壊するおそれのある者

(7)麻薬及び向精神薬取締法(昭和28年法律第14号)に定める麻薬若しくは向精神薬、大麻取締法(昭和23年法律第124号)に定める大麻、あへん法(昭和29年法律第71号)に定めるけし、あへん若しくはけしがら、覚せい剤取締法(昭和26年法律第252号)に定める覚せい剤若しくは覚せい剤原料又はあへん煙を吸食する器具を不法に所持する者

(8)売春又はその周旋、勧誘、その場所の提供その他売春に直接に関係がある業務に従事したことのある者(人身取引等により他人の支配下に置かれていた方がこれらの業務に従事した場合を除きます。)

(9)人身取引等を行い、唆し、又はこれを助けた者

(10)銃砲刀剣類所持等取締法(昭和33年法律第6号)に定める銃砲若しくは刀剣類又は火薬類取締法(昭和25年法律第149号)に定める火薬類を不法に所持する者

(11)次のア~エに掲げる者で、それぞれ当該ア~エに定める期間を経過していないもの

ア 上記7又は10に該当して上陸を拒否された者 拒否された日から1年

イ 入管法第24条各号(第4号オからヨまで及び第4号の3を除きます。)のいずれかに該当して日本からの退去を強制された者で、その退去の日前に日本からの退去を強制されたこと及び同法第55条の3第1項の規定による出国命令により出国したことのないもの 退去した日から5年

ウ 入管法第24条各号(第4号オからヨまで及び第4号の3を除きます。)のいずれかに該当して日本からの退去を強制された者(ロに掲げる者を除きます。) 退去した日から10年

エ 入管法第55条の3第1項の規定による出国命令により出国した者 出国した日から1年

(12)入管法別表第1の上欄の在留資格をもって日本に在留している間に刑法(明治40年法律第45号)第2編第12章、第16章から第19章まで、第23章、第26章、第27章、第31章、第33章、第36章、第37章若しくは第39章の罪、暴力行為等処罰に関する法律(大正15年法律第60号)第1条、第1条ノ2若しくは第1条ノ3(刑法第222条又は第261条に係る部分を除きます。)の罪、盗犯等の防止及び処分に関する法律(昭和5年法律第9号)の罪、特殊開錠用具の所持の禁止等に関する法律(平成15年法律第65号)第15条若しくは第16条の罪又は自動車の運転により人を死傷させる行為等の処罰に関する法律(平成25年法律第86号)第2条若しくは第6条第1項の罪により懲役又は禁錮に処する判決の宣告を受けた者で、その後出国して日本国外にある間にその判決が確定し、確定の日から5年を経過していないもの

(13)第24条第4号オからヨまでのいずれかに該当して日本からの退去を強制された者

(14)日本国憲法又はその下に成立した政府を暴力で破壊することを企て、若しくは主張し、又はこれを企て若しくは主張する政党その他の団体を結成し、若しくはこれに加入している者

(15)次の政党その他の団体を結成し、若しくはこれに加入し、又はこれと密接な関係を有する者

ア 公務員であるという理由により、公務員に暴行を加え、又は公務員を殺傷することを勧奨する政党その他の団体

イ 公共の施設を不法に損傷し、又は破壊することを勧奨する政党その他の団体

ウ 工場事業場における安全保持の施設の正常な維持又は運行を停廃し、又は妨げるような争議行為を勧奨する政党その他の団体

(16)上記(14)又は(15)に規定する政党その他の団体の目的を達するため、印刷物、映画その他の文書図画を作成し、頒布し、又は展示することを企てる者

(17)上記(1)~(16)の者を除くほか、法務大臣において日本国の利益又は公安を害する行為を行うおそれがあると認めるに足りる相当の理由がある者

なお、法務大臣は、日本に上陸しようとする外国人の方が上記(1)~(17)のいずれにも該当しない場合でも、その方の国籍又は市民権の属する国が上記(1)~(17)以外の事由により日本人の上陸を拒否するときは、同一の事由により当該外国人の上陸を拒否することができることとされています。

【参考】入管法第5条、入管法施行規則第4条

法務大臣は、外国人の方について、上記「1.上陸拒否事由」の(4)、(5)、(8)、(11)又は(12)に該当する特定の事由がある場合であっても、次のいずれかに該当する場合において、相当と認めるときは、法務省令で定めるところにより、当該事由のみによっては上陸を拒否しないこととすることができることとされています。

(1)外国人の方が次のいずれかに該当する場合であって、その方が在留資格をもって在留しているとき。

ア 上陸特別許可を受けた場合

イ 在留資格変更許可を受けた場合

ウ 在留期間更新許可を受けた場合

エ 永住許可(永住の在留資格の取得の許可を含みます。)を受けた場合

オ 在留資格取得許可を受けた場合

カ 再入国許可を受けた場合

キ 在留特別許可を受けた場合

ク 難民旅行証明書の交付を受けた場合

ケ 上記ア~クに準ずる場合として法務大臣(入管法第69条の2の規定により、同法第5条の2に規定する権限の委任を受けた地方入国管理局長を含みます。以下同じです。)が認める場合

(2)外国人の方が在留資格認定証明書の交付を受けた場合又は旅券に日本国領事官等の査証(査証事前協議を経たものに限ります。)を受けた場合であって、上記「1.上陸拒否事由」の(4)、(5)、(8)、(11)又は(12)に該当する特定の事由に該当することとなってから相当の期間が経過していることその他の特別の理由があると法務大臣が認めるとき。

【参考】入管法第5条の2、入管法施行規則第4条の2

最終更新日:2019年10月11日