外国人の上陸手続

日本に上陸しようとする外国人(乗員を除きます。)の方は、出入国管理及び難民認定法(昭和26年政令第319号。以下「入管法」といいます。)の規定により、有効な旅券で外国に駐在する日本国の大使、公使又は領事官の発給した査証(ビザ)を受けたものを所持していなければなりません。ただし、①国際約束若しくは日本国政府が外国政府に対して行った通告により日本国領事官等の査証を必要としないこととされている外国人の旅券、②再入国許可(みなし再入国許可を含みます。)を受けている外国人の旅券及び③難民旅行証明書の交付を受けている外国人の難民旅行証明書には、査証を要しないこととされています。

【参考】入管法第2条第3号、第4号、第5号、第6条第1項

日本に上陸を希望する外国人の方は、上陸しようとする出入国港において、法務省令に定める手続により、入国審査官に対し上陸の申請をして、上陸のための審査を受けなければなりません。これを上陸申請といいます。

外国人の方は、上陸申請をするに当たり、個人識別情報(指紋及び写真)を提供しなければなりません。ただし、その方が①特別永住者、②16歳に満たない者、③日本において外交又は公用の在留資格に該当する活動を行おうとする者、④国の行政機関の長が招へいする者、又は⑤上記③及び④の者に準ずる者として法務省令で定める者に該当する場合には、個人識別情報の提供を要しないこととされています。

【参考】入管法第2条第8号、第6条第2項、第3項

日本に上陸を希望する外国人の方からの上陸の申請があると、入国審査官は、その外国人の方が次の上陸のための条件に適合しているかどうかを審査します。これを上陸審査といいます。

(1)有効な旅券を所持し、査証を必要とする場合には、その旅券に外国に駐在する日本国の大使、公使又は領事官が発給した有効な査証を受けていること。

(2)申請に係る活動(日本で行おうとする活動)が①虚偽のものでなく、②別表第1在留資格に該当する活動(2の表の高度専門職の項の下欄第2号に掲げる活動を除き、5の表の下欄に掲げる活動については、法務大臣があらかじめ告示をもって定める活動に限ります。)又は別表第2在留資格に該当する身分若しくは地位(永住者の項の下欄に掲げる地位を除き、定住者の項の下欄に掲げる地位については法務大臣があらかじめ告示をもって定めるものに限ります。)を有する者としての活動のいずれかに該当すること(在留資格該当性)が認められ、かつ、③別表第1の2の表及び4の表在留資格に該当する活動を行おうとする方については日本の産業及び国民生活に与える影響その他の事情を勘案して法務省令で定める基準に適合すること(上陸許可基準適合性)が認められるものであること(別表第1の2の表の特定技能の項の下欄第1号に掲げる活動を行おうとする外国人については、1号特定技能外国人支援計画が入管法第2条の5第6項及び第7項の規定に適合するものであることを含む。)。

(3)申請に係る在留期間(日本に滞在しようとする期間)が法務省令の規定に適合するものであること。

(4)入管法第5条に定める上陸拒否事由に該当しないこと。(第5条の2の規定による上陸拒否の特例の対象となる外国人の方にあっては、同条に規定する特定の事由によって第5条第1項第4号、第5号、第7号、第9号又は第9号の2に該当する場合であって、当該事由以外の事由によっては同項各号のいずれにも該当しないこと。)

上陸審査を受ける外国人の方は、上記(1)~(4)の上陸のための条件に適合していることを自ら立証しなければなりません。この場合に、在留資格認定証明書の交付を受けている外国人の方は、上陸審査の際に同証明書を提示することにより、在留資格に関する上陸条件に適合する者として取り扱われることから、審査は簡易かつ迅速に行われます。

なお、上陸審査に当たり、法令の規定により個人識別情報の提供を免除されていない外国人の方が個人識別情報の提供を拒否した場合には、特別審理官に引き渡され、口頭審理を受けることとなります。

【出典】出入国在留管理庁ウェブサイト(http://www.immi-moj.go.jp/tetuduki/kanri/zyouriku.html及びhttp://www.immi-moj.go.jp/tetuduki/kanri/visa.html)に掲載されている情報を基に、当事務所にて内容を一部編集して掲載しています。

【参考】入管法第2条第12号、第7条

入国審査官による審査の結果、日本に上陸を希望する外国人の方が上陸のための条件に適合していると認められた場合には、原則として、その方の在留資格及び在留期間が決定されるとともに、その旅券に上陸許可の証印がされ、日本への上陸が認められます。

なお、上陸審査の結果、上陸のための条件に適合していると認められなかった場合には、特別審理官に引き渡され、口頭審理を受けることとなります。

※ 再入国許可を受けている方、難民旅行証明書を所持している方又は特定登録者カードを所持する方については、上記の原則とは一部異なる取り扱いがなされることとされています。

【参考】入管法第9条、第9条の2

口頭審理

口頭審理の結果、特別審理官により上陸のための条件に適合すると認定された外国人の方は、直ちに上陸が許可され、旅券に上陸許可の証印を受けて日本に上陸することができます。

また、口頭審理の結果、特別審理官により上陸のための条件に適合しないと認定された外国人の方は、特別審理官の認定に服するか、異議を申し出るかのいずれかを選択することができ、認定に服した場合には、日本からの退去を命じられます。

異議の申出

口頭審理の結果、特別審理官により上陸のための条件に適合しないと認定された外国人の方が特別審理官の認定に異議を申し出る場合には、認定の通知を受けた日から3日以内に、入管法施行規則第11条に定める手続により、不服の事由を記載した書面を主任審査官に提出して、法務大臣に対し異議の申出を行うことができます。また、法務大臣は、異議の申出を受理したときは、異議の申出が理由があるかどうか(異議を申し出た外国人の方が上陸の条件に適合しているかどうか)を裁決することとされています。

法務大臣が異議の申出に理由があると裁決した場合には、異議を申し出た外国人の方は、直ちに上陸が許可され、旅券に上陸許可の証印を受けて日本に上陸することができます。また、法務大臣が異議の申出に理由がないと裁決した場合には、異議を申し出た外国人の方は日本からの退去を命じられます。

上陸特別許可

法務大臣は、異議の申出に理由がないと認める場合でも、異議を申し出た外国人の方が①再入国の許可を受けているとき、②人身取引等により他人の支配下に置かれて日本に入国したものであるとき、③その他法務大臣が特別に上陸を許可すべき事情があると認めるときは、その外国人の方の上陸を特別に許可することができることとされています。これを上陸特別許可といいます。

上陸特別許可を受けた外国人の方は、直ちに上陸が許可され、旅券に上陸許可の証印を受けて日本に上陸することができます。

【参考】入管法第10条、第11条、第12条

外国人の方の上陸の手続(上陸審査口頭審理及び異議申出の手続)中において特に必要があると認める場合には、主任審査官は、その手続が完了するときまでの間、その外国人の方に仮上陸を許可することができることとされています。また、主任審査官は、外国人の方に仮上陸を許可するに当たり、住居及び行動範囲の制限、呼出しに対する出頭の義務等の条件を付するとともに、200万円(未成年者の場合には100万円)を超えない範囲内で主任審査官が定める額の保証金を納付させることができることとされています。

仮上陸を許可された外国人の方が上陸許可の証印を受けた場合又は退去命令を受けた場合には、納付した保証金は返還されます。ただし、仮上陸を許可された外国人が逃亡し、又は正当な理由がなくて呼出に応じない場合又は仮上陸に付された条件に違反した場合には、保証金の全部又は一部が没収されます。

なお、主任審査官が仮上陸を許可された外国人の方に逃亡のおそれがあると認める場合には、仮上陸許可は取り消され、当該外国人の方は収用されることとなります。

【参考】入管法第2条第11号、13条

日本に上陸しようとする外国人の方は、原則として、入管法第3章第1節から第3節までに規定する手続により、上陸許可の証印を受けて上陸する必要がありますが、同章第4節(第14条~第18条の2)には、船舶等の乗員又は乗客である外国人の方が特定の条件を満たす場合に限り、簡易な手続により一時的に上陸を認められる例外的な上陸許可の類型が定められています。これを特例上陸許可といいます。

特例上陸許可には、①寄港地上陸の許可(第14条)、②船舶観光上陸の許可(第14条の2)、③通過上陸の許可(第15条)、④乗員上陸の許可(第16条)、⑤緊急上陸の許可(第17条)、⑥遭難による上陸の許可(第18条)及び⑦一時庇護のための上陸の許可(第19条)の7つの類型があります。

【参考】入管法第3章第4節

最終更新日:2019年11月05日