在留資格「興行」

「興行」の在留資格は、外国の文化に接する機会を提供し、文化交流を推進することにより国際理解を増進し、また、日本の文化及びスポーツの振興及び向上等に寄与すること等を目的として設けられた在留資格です。

一方で、不正に利益を得ることを目的として、「興行」の在留資格をもって在留する外国人が本来の在留目的とは異なる活動に従事させられ、安価な労働力として使用される等の不適法な事案も発生していることから、外国人が適法かつ適正な興行活動を行い、又は行い得ることの確認の必要性、不正に利益を得ることを目的として外国人を招へいしようとする団体又は個人を排除する必要性等の観点から、在留資格該当性及び上陸基準適合性が判断されています。

【出典】入国・在留審査要領第12編第17節

【参考】入管法別表第1

入管法別表第1の2の表の「興行」の項の下欄は、「興行」の在留資格をもって在留する外国人が日本において行うことができる活動について、「演劇、演芸、演奏、スポーツ等の興行に係る活動又はその他の芸能活動(この表の経営・管理の項の下欄に掲げる活動を除く。)」と規定しています。

具体的には、興行の形態で行われる演劇、演芸、歌謡、舞踊、演奏、スポーツ、サーカスその他のショー等に出演する活動及び出演はしないもののこれらの興行を行う上で重要な役割を担う芸能活動及び出演者が興行を行うために必要不可欠な補助者としての活動のほか、商品又は事業の宣伝に係る活動、放送番組又は映画の制作に係る活動、商業用写真の撮影に係る活動、商業用のレコード又はビデオテープその他の記録媒体に録音又は録画を行う活動等の興行の形態で行われるものではない芸能活動が、「興行」の在留資格に該当します。ただし、これらの活動に該当する場合であっても、在留資格「経営・管理」に該当する活動については、同在留資格に該当し、「興行」の在留資格の対象とはなりません。

なお、興業の形態で行われる演劇、演芸、歌謡、舞踊、演奏等の活動は、芸術上の活動であっても、「芸術」の在留資格ではなく、「興業」の在留資格に該当します。例えば、公演を行うオーケストラの活動は、芸術家といえる場合であっても、公衆に演奏を聴かせ、又は見せることを目的とすることから、その活動は「興行」の在留資格に該当します。

【出典】入国・在留審査要領第12編第5節

【参考】入管法別表第1

「興行」の在留資格については、上陸許可基準が設けられており、出入国管理及び難民認定法第7条第1項第2号の基準を定める省令(平成2年法務省令第16号)の「法別表第1の2の表の興行の項の下欄に掲げる活動」の項の下欄は、同在留資格の上陸基準について、次のように規定しています。

(1)申請人が演劇、演芸、歌謡、舞踊又は演奏(以下「演劇等」という。)の興行に係る活動に従事しようとする場合は、下記(2)の場合を除き、次のいずれにも該当していること。

ア 申請人が従事しようとする活動について次のいずれかに該当していること。ただし、当該興行を行うことにより得られる報酬の額(団体で行う興行の場合にあっては当該団体が受ける総額)が1日につき500万円以上である場合は、この限りではありません。

① 外国の教育機関において当該活動に係る科目を2年以上の期間専攻したこと。

② 2年以上の外国における経験を有すること。

イ 申請人が次のいずれにも該当する日本の機関との契約(当該機関が申請人に対して月額20万円以上の報酬を支払う義務を負うことが明示されているものに限ります。以下「興行契約」といいます。)に基づいて演劇等の興行に係る活動に従事しようとするものであること。ただし、主として外国の民族料理を提供する飲食店(風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律(昭和23年法律第122号。以下「風営法」という。)第2条第1項第1号に規定する営業を営む施設を除きます。)を運営する機関との契約に基づいて月額20万円以上の報酬を受けて当該飲食店において当該外国の民族音楽に関する歌謡、舞踊又は演奏に係る活動に従事しようとするときは、この限りではありません。

① 外国人の興行に係る業務について通算して3年以上の経験を有する経営者又は管理者がいること。

② 5名以上の職員を常勤で雇用していること。

③ 当該機関の経営者又は常勤の職員が次のいずれにも該当しないこと。

ⅰ 人身取引等を行い、唆し、又はこれを助けた者

ⅱ 過去5年間に入管法第24条第3号の4イからハまでに掲げるいずれかの行為を行い、唆し、又はこれを助けた者

ⅲ 過去5年間に当該機関の事業活動に関し、外国人に不正に入管法第3章第1節若しくは第2節の規定による証明書の交付、上陸許可の証印(法第9条第4項の規定による記録を含みます。以下同じです。)若しくは許可、同章第4節の規定による上陸の許可又は入管法法第4章第1節、第2節若しくは入管法法第5章第3節の規定による許可を受けさせる目的で、文書若しくは図画を偽造し、若しくは変造し、虚偽の文書若しくは図画を作成し、若しくは偽造若しくは変造された文書若しくは図画若しくは虚偽の文書若しくは図画を行使し、所持し、若しくは提供し、又はこれらの行為を唆し、若しくはこれを助けた者

ⅳ 入管法第74条から第74条の8までの罪又は売春防止法(昭和31年法律第108号)第6条から第13条までの罪により刑に処せられ、その執行を終わり、又は執行を受けることがなくなった日から5年を経過しない者

ⅴ 暴力団員による不当な行為の防止等に関する法律(平成3年法律第77号)第2条第6号に規定する暴力団員(以下「暴力団員」といいます。)又は暴力団員でなくなった日から5年を経過しない者

① 過去3年間に締結した興行契約に基づいて興行の在留資格をもって在留する外国人に対して支払義務を負う報酬の全額を支払っていること。

ウ 申請に係る演劇等が行われる施設が次に掲げるいずれの要件にも適合すること。ただし、興行に係る活動に従事する興行の在留資格をもって在留する者が当該施設において申請人以外にいない場合は、下記⑥に適合すること。

② 不特定かつ多数の客を対象として外国人の興行を行う施設であること。

③ 風営法第2条第1項第1号に規定する営業を営む施設である場合は、次に掲げるいずれの要件にも適合していること。

ⅰ 専ら客の接待(風営法第2条第3項に規定する接待をいいます。以下同じです。)に従事する従業員が5名以上いること。

ⅱ 興行に係る活動に従事する興行の在留資格をもって在留する者が客の接待に従事するおそれがないと認められること。

④ 13平方メートル以上の舞台があること。

⑤ 9平方メートル(出演者が5名を超える場合は、9平方メートルに5名を超える人数の1名につき1・6平方メートルを加えた面積)以上の出演者用の控室があること。

⑥ 当該施設の従業員の数が5名以上であること。

⑦ 当該施設を運営する機関の経営者又は当該施設に係る業務に従事する常勤の職員が次のいずれにも該当しないこと。

ⅰ 人身取引等を行い、唆し、又はこれを助けた者

ⅱ 過去5年間に入管法第24条第3号の4イからハまでに掲げるいずれかの行為を行い、唆し、又はこれを助けた者

ⅲ 過去5年間に当該機関の事業活動に関し、外国人に不正に入管法第3章第1節若しくは第2節の規定による証明書の交付、上陸許可の証印若しくは許可、同章第4節の規定による上陸の許可又は入管法第4章第1節、第2節若しくは入管法第5章第3節の規定による許可を受けさせる目的で、文書若しくは図画を偽造し、若しくは変造し、虚偽の文書若しくは図画を作成し、若しくは偽造若しくは変造された文書若しくは図画若しくは虚偽の文書若しくは図画を行使し、所持し、若しくは提供し、又はこれらの行為を唆し、若しくはこれを助けた者

ⅳ 入管法第74条から第74条の8までの罪又は売春防止法第6条から第13条までの罪により刑に処せられ、その執行を終わり、又は執行を受けることがなくなった日から5年を経過しない者

ⅴ 暴力団員又は暴力団員でなくなった日から5年を経過しない者

(2)申請人が演劇等の興行に係る活動に従事しようとする場合は、次のいずれかに該当していること。

ア 我が国の国若しくは地方公共団体の機関、我が国の法律により直接に設立された法人若しくは我が国の特別の法律により特別の設立行為をもって設立された法人が主催する演劇等の興行又は学校教育法(昭和22年法律第26号)に規定する学校、専修学校若しくは各種学校において行われる演劇等の興行に係る活動に従事しようとするものであること。

イ 我が国と外国との文化交流に資する目的で国、地方公共団体又は独立行政法人の資金援助を受けて設立された本邦の公私の機関が主催する演劇等の興行に係る活動に従事しようとするものであること。

ウ 外国の情景又は文化を主題として観光客を招致するために外国人による演劇等の興行を常時行っている敷地面積10万平方メートル以上の施設において当該興行に係る活動に従事しようとするものであること。

エ 客席において飲食物を有償で提供せず、かつ、客の接待をしない施設(営利を目的としない日本の公私の機関が運営するもの又は客席の定員が100人以上であるものに限ります。)において演劇等の興行に係る活動に従事しようとするものであること。

オ 当該興行により得られる報酬の額(団体で行う興行の場合にあっては当該団体が受ける総額)が1日につき50万円以上であり、かつ、15日を超えない期間本邦に在留して演劇等の興行に係る活動に従事しようとするものであること。

(3)申請人が演劇等の興行に係る活動以外の興行に係る活動に従事しようとする場合は、日本人が従事する場合に受ける報酬と同等額以上の報酬を受けて従事すること。

(4)申請人が興行に係る活動以外の芸能活動に従事しようとする場合は、申請人が次のいずれかに該当する活動に従事し、かつ、日本人が従事する場合に受ける報酬と同等額以上の報酬を受けること。

ア 商品又は事業の宣伝に係る活動

イ 放送番組(有線放送番組を含む。)又は映画の製作に係る活動

ウ 商業用写真の撮影に係る活動

エ 商業用のレコード、ビデオテープその他の記録媒体に録音又は録画を行う活動

【参考】出入国管理及び難民認定法第7条第1項第2号の基準を定める省令(平成2年法務省令第16号)

「興行」の在留資格に設けられている在留期間は、3年、1年、6月、3月又は15日です。

【参考】入管法第2条の2、入管法施行規則別表第2

外国人の方が、「興行」の在留資格に該当する活動を行う目的で日本に入国しようとする場合には、原則として、「興行」の在留資格認定証明書の交付を受けるための在留資格認定証明書交付申請(興行)を行い、同証明書の交付を受けた上で、査証申請を行い、査証の発給を受けて、日本に入国し、上陸手続において「興行」の在留資格の決定を受ける必要があります。

【参考】入管法第3条、第6条、第7条の2、第9条

現に「興行」の在留資格をもって日本に在留する外国人の方が、その活動内容を変更することなく、在留期限の到来後も引き続き日本に在留することを希望する場合には、法務省令で定める手続により、法務大臣に対し在留期間更新許可申請(興行)を行い、在留期間の更新の許可を受けなければなりません。

【参考】入管法第21条

現に「興行」の在留資格をもって日本に在留する外国人の方が、「興行」の在留資格で認められている在留中の活動の範囲を超えて、収入を伴う事業を運営する活動又は報酬(臨時の報酬等を除きます。以下同じです。)を受ける活動を行うことを希望する場合には、あらかじめ、法務省令で定める手続により、出入国在留管理庁長官に対し資格外活動許可申請を行い、資格外活動の許可を受けなければなりません。

なお、資格外活動が許可されるためには、現に有する在留資格に該当する活動の遂行を阻害しない範囲内で行われるものであることが認められる必要があります。

【参考】入管法第19条

最終更新日:2019年11月29日