相続人

相続において被相続人の権利義務を承継する相続人の範囲は、民法(明治29年法律第89号)に規定されており、これを「法定相続人」といいます。被相続人が生前に遺言による別段の意思表示をしていない場合には、原則として、法定相続人が相続財産を承継することとなります。

【参考】民法第896条、第898条

推定相続人(相続が開始した場合に相続人となるべき者)が次のいずれかに該当する場合には、その推定相続人は相続人となることができません。これを「相続欠格」といいます。

(1)故意に被相続人又は先順位若しくは同順位の相続人を殺害し、又は殺害しようとしたことを理由として、刑に処せられた場合

(2)被相続人が殺害されたことを知りながら、これを告発せず、又は告訴しなかった場合(是非の弁別がない場合、又は殺害者がその者の配偶者若しくは直系血族であった場合を除きます。)

(3)詐欺又は強迫によって、被相続人が相続に関する遺言をし、又はその遺言を撤回し、取り消し、若しくは変更するのを妨害した場合

(4)詐欺又は強迫によって、被相続人に相続に関する遺言をさせ、又はその遺言を撤回させ、取り消させ、若しくは変更させた場合

(5)相続に関する被相続人の遺言書を偽造し、変造し、破棄し、又は隠匿した場合

【参考】民法第891条

遺留分を有する推定相続人(第1順位相続人又は第2順位相続人)が被相続人を虐待し、若しくは被相続人に重大な侮辱を加えたこと又は当該推定相続人にその他の著しい非行があったことを理由として、被相続人が家庭裁判所にその推定相続人の廃除を申し立てた場合には、その推定相続人は相続人となることができません。

また、被相続人が生前に遺言で特定の推定相続人を廃除する旨の意思表示をしており、被相続人の死亡後に、遺言執行者がその遺言の内容に基づいて家庭裁判所にその推定相続人の廃除を申し立てた場合にも、その推定相続人は相続人となることができません。この場合には、推定相続人の廃除の効力は、被相続人の死亡の時にさかのぼって生じることとされています。

なお、被相続人は、いつでも、家庭裁判所に推定相続人の廃除の取消しを申し立てることができることとされています。また、被相続人が生前に特定の推定相続人を廃除していた場合において、遺言にその推定相続人の廃除を取り消す旨の意思表示があるときは、遺言執行者は、その遺言の内容に基づいてその推定相続人の廃除の取り消しを家庭裁判所に申し立てなければならないこととされています。

※ 家庭裁判所における廃除又は廃除の取消しの申立てに関する手続については、当事務所では、業務をお取扱いすることができません。

【参考】民法第892条~第894条

最終更新日:2019年11月05日